由島さんへ(純より)

お父さんの日記、
色々あったのを僕が勝手にまとめたものだよ。

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97・12・1

奇妙な不安を感じ始めていた。
うまく言えないが、錯覚に近い感覚だった。

この日から、駅などの人の多い場所で、
何らかの視線を感じるようになった。


98・1・19

JOHN、ヨハネという差出人から、初めてのメール。
捨ててしまった。

重々しく・・威圧されてしまうような文章だった・・。
内容は意味不明だったが、自分が選ばれた、のような意味?


98・3・7

頻繁にヨハネという差出人からメール。
だが、文体などは最初と異なる。時には恫喝じみた内容も。

一度、個人特定を試みるが、一切手掛かりなし。

アンゴルモアの制作に関して、いくつかの干渉を受ける。
狙いが分からない・・

純が不安を訴えてきた。
見えないところで、ヨハネが何かをしているのだ。


98・5・26
  
由島君達が入ってきた。
考えていた通り、破天荒な男だった。
彼ならばあるいは、何かを変えてくれるかもしれない。

それが良い方向であろうと悪い方向であろうと、
私はそれに従う。それが最後の賭けなのだ。

彩月君達は当然猛反発していたが、何とか抑えた。

「アンゴルモア」は、私が守る。
あってはならないことだ。
私はヨハネには屈しない。

「アンゴルモア」は、
これ以上ないエンターテイメントになるだろう。


98・5・27

乱橋君が殺された。乱橋君の死は、由島君が発見。
殺したのは、間違いなく、ヨハネだ。

方法は分からない。
だが、由島君が調べてくれているようだ、

しかし、セキュリティなどの状況を考えると、
由島君以外の人間には犯行は難しい。
まさか・・由島君が? とも思う。

だが、自分が疑われるような状況をわざわざ作るのも
逆におかしいだろう。そもそも彼は正真正銘、私が選んだ人間だ。

ヨハネには、二重の構造があるような気がする。
二つの性質を持っているように見える。

二人の人間、というのとは、少し違うような気がする。

ヨハネに感じたのは、彼の使命感?
欲望渦巻く世界とはまた別の・・
彼の目的はいったい何なのか・・


98・7・5 

由島君が来るかもしれない。
サーバの出所を見付けた。
このサーバを介して、ヨハネがメールを出している。
そして、アンゴルモアにもアクセスしているらしい。

だが、このサーバはどこにあるのだ?

***************************** 私はサーバを付き止めた。

IPアドレスは、

XXX.XXX.XXX.117

由島君がログインするしかない。